豪ドルが今後弱くなる要因と強くなる要因の両面についての可能性を解説していきます。
中国経済と深く関りがあり、景気を左右されやすい豪ドルですが、資源国としての認知が広く、鉄鉱石や石炭など豊富な天然資源を有しています。また、高金利通貨として取引されやすい通貨で、米経済がリスクオンになるときには通貨が買われやすい反面、リスクオフでの通貨の弱さの騰落率には大きな差があります。
相場が強気の場合、弱気な場面にはどのような時があるのか調べてみました。
豪ドルが弱くなる可能性
世界経済の不確実性
中国経済の減速懸念が豪ドル安の大きな要因となっています。中国はオーストラリアの主要貿易相手国であり、その経済動向が豪ドルに直接影響を与えます。中国の景気悪化は、オーストラリアからの輸入減少につながる可能性があります。
資源価格の動向
豪ドルは資源国通貨として知られていますが、最近の資源価格の動向が通貨に影響を与えています。
鉄鋼価格の下落:鉄鋼価格が4ヶ月最安値へと暴落しており、これが豪ドル安につながる可能性があります。
資源価格上昇のペースダウン:エネルギー価格は高止まりしているものの、銅や鉄鉱石価格は下落傾向にあります。
金融政策の影響
利上げ打ち止め観測が高まっています。オーストラリア準備銀行(RBA)は直近の政策金利を4.35%に据え置きましたが、今後の経済指標次第では更なる利上げの可能性も残されています。インフレ動向やRBAの政策金利動向に注視が必要です。
米国の金融政策
米国の金融引き締めの影響が根強いことも豪ドル安の背景となっています。米ドル需要の強さも豪ドル安要因の一つです。
テクニカル要因
AUD/USDの終値が20日移動平均線を下回っていることも、今後の下落を示唆する要因となっています。
AUD/USD(豪ドル/ドル)は日足で下降チャネルに推移しており、豪ドルが強くなっても売りに叩かれやすい相場となっています。
まとめ1
以上の要因により、豪ドルは今後弱含む可能性があります。ただし、経済指標の結果次第では状況が変化する可能性もあるため、継続的な市場動向の観察が重要です。
続いて、豪ドル強くなる要因について解説します。
豪ドルが強くなる可能性
経済指標の改善
オーストラリアの経済指標が市場予想を上回る好調な結果を示す場合、豪ドル高につながる可能性があります。特に以下の指標が重要です。
- 雇用統計
- 小売売上高
- 消費者物価指数(CPI)
また、中国の経済指標も豪ドルに影響を与えます。中国はオーストラリアの最大の貿易相手国であるため、中国経済の好調さは豪ドル高につながります。
資源価格の上昇
オーストラリアは資源国であるため、鉄鉱石や石炭などの資源価格の上昇は豪ドル高をもたらす重要な要因となります。特に鉄鉱石価格と豪ドルの間には強い正の相関関係があります。
金融政策
RBA(オーストラリア準備銀行)の金融引き締めや利上げ観測の高まりは、豪ドル高につながります。オーストラリアは歴史的に先進国の中では金利が高い傾向にあり、金利動向に敏感に反応します。
国際情勢の安定
地政学リスクや金融不安の後退は、豪ドル高をもたらす要因となります。世界的に政治・経済が安定している時には、高金利を求める資金が豪ドルに集まりやすくなります。
貿易収支の改善
貿易黒字や経常収支の改善は、一般的に豪ドル高につながります。
オーストラリアの輸出が輸入を上回ることで、豪ドルの需要が高まります。
市場センチメント
投資家のリスク選好度が高まる(リスクオン)状況では、豪ドルは上昇しやすい傾向があります。
これは、豪ドルが比較的高リスク・高リターンの通貨と見なされているためです。
豪ドルの特性
豪ドルは「リスクオン通貨」としての特徴を持っています。これは以下の要因によるものです
資源国通貨:オーストラリアは鉄鉱石や石炭など豊富な天然資源を有しており、全輸出の5割以上を鉱物資源が占めています。
高金利通貨:オーストラリアは歴史的に他の先進国と比較して金利が高い傾向にあります。
リスクオン時の投資行動
投資家のリスク選好度が高まると、以下のような投資行動が見られます
高利回り資産への投資:投資家は、より高いリターンを求めてリスクの高い資産に資金を振り向けます。豪ドルは比較的高金利であるため、この恩恵を受けやすいです。
資源需要の増加:景気拡大期待が高まると、工業用資源の需要増加が見込まれます。これはオーストラリアの主要輸出品である鉄鉱石や石炭の価格上昇につながり、豪ドル高を後押しします。
キャリートレードの活発化:低金利通貨を借り入れて高金利通貨に投資するキャリートレードが活発化し、豪ドルへの需要が増加します。
中国経済との関連性
オーストラリアの最大の貿易相手国は中国です。その理由として
中国の経済成長期待:中国経済の成長期待が高まると、オーストラリアからの資源輸出増加が見込まれ、豪ドル高につながります。
アジア経済圏の活性化:中国を中心としたアジア経済圏の活性化は、オーストラリア経済にとってプラスに作用します。
関税の撤廃:中国がオーストラリア産大麦やワインへの関税を撤廃し、関係を改善しています。
政府の姿勢:アルバニージー政権は「是々非々」の対中スタンスを取っています。
- 通商面ではほぼ正常化
- 安全保障面では依然として緊張関係あり(南シナ海での対峙、AUKUSやクアッドへの参加)
オーストラリアと中国の関係は、経済面での改善が見られる一方で、安全保障面では慎重な姿勢が続いています。両国の関係は複雑であり、今後も注視が必要です。
市場心理
リスクオン環境下では、投資家の心理が以下のように変化します
- 楽観的な市場見通し:景気拡大への期待が高まり、投資家はより積極的な投資姿勢を取ります。
- 安全資産からの資金シフト:円やスイスフランなどの安全資産から、豪ドルのようなリスク資産への資金シフトが起こります。
まとめ2
以上の要因が単独または複合的に作用することで、豪ドルが強くなる可能性があります。ただし、為替市場は複雑で予測が難しいため、これらの要因が必ずしも豪ドル高をもたらすとは限らないことに注意が必要です。
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